クエタマ

クエタマ

私たちは1988年にクエの人工ふ化に成功し、研究と生産に取り組んできました。クエは成長が遅く、和歌山県の漁場であれば出荷サイズの3kgに到達するまで6年以上の年月を要することになり、精算コストがかさむことが課題でした。

そこで、クエを鹿児島県の奄美大島に移動し水温が年間を通して20℃をほぼ下回らない温暖な海域で養成することで、成長が早い個体であれば4年で出荷できるまで短縮することができました。

奄美大島での養成に加えて私たちが取り組んだのが、同じハタ科魚類による交雑育種研究です。2011年、クエの卵に、南方系のハタ科魚類で最も大型になることで知られる「タマカイ」の精子を授精させた交雑魚の作出に日本で初めて成功し「クエタマ」と名付けました。

クエタマは和歌山県内で生産を開始しますが、タマカイの親魚は奄美大島で管理しており、奄美大島で採卵した精子を和歌山に輸送し、和歌山県内で採卵したクエの卵と人工授精する事で受精卵を獲得します。

クエと同様に水温が高いと成長はよいのですが、水温が低い期間はあまり成長しません。ですので和歌山で生まれたクエタマは100g程度の大きさになると、冬期でも和歌山より水温の高い奄美大島に移り、出荷できる大きさになるまで育てています。大きな個体で約2年、3年ほど奄美で育った後は、故郷の和歌山に戻り出荷を待ちます。